最終話になります。
今まで読んでくれた方。ありがとうございます。
また機会があればやろうと思いますので、楽しみにしててください。
でわ、どうぞ。
最終話「ブイ・エス」
携帯のアラームが鳴り響く、目を覚ますと見慣れない天井が目に付く。
(知らない、天井だ・・・。)
当たり前である。刹葉は旅行中なのだ。そしてホテルに泊まっているのだから知らないのが普通だった。
(そうか、俺旅行中なんだっけ。)
寝ぼけながら思うと、ふと時間に目をやる。時刻は八時ちょっと過ぎくらい。他の三人の連絡がまだない刹葉はとりあえず、準備をすることした。
刹葉は出発をする準備を済ませると、携帯に目をやる。みんなからの連絡はまだない。
(おかしいな。もう連絡があってもいい頃なのに。)
そう思うと不安になり、とりあえず、純吉の部屋へと向かった。
純吉はすでに準備万端なようだ。純吉を仲間にした刹葉は次の仲間を求めて、旅立った。
(あれ、なんか違う・・・。)
次に向かった部屋は祐二の部屋だった。祐二は準備が整っていなかったが、すぐ準備が整う状態であった。なので仲間にせず、次なる部屋祐一の部屋へと向かった。
祐一の部屋をノックすると、祐一が出てくる。寝癖にパンツ一枚というあられもない姿で、だ。
(寝起きキタコレ・・・。)
その姿を見た刹葉と純吉は仕方なくロビーで待つことにしたのであった。
ロビーで待つこと数十分。祐二に加え、祐一が仲間に加わった。
こうして、刹葉は四人のパーティを組むとホテルを出る。
外は生憎の雨である。そそくさと車へ乗り込むと、次の目的地である『温泉』へと向かった。
温泉の場所は決まっていなかった。四人揃って温泉の場所を探す。そしてこの旅の目的である良い温泉に入ることを達成しようとする四人だった。なので必死に探す。
必死に探すわけだが・・・。
一人は運転中。そして一人はパチンコ屋を探す。一人は携帯アプリをやりだす。そして一人は温泉を探す。
(えーっと・・・。)
そして、決定した。近い温泉に行って、すぐパチンコ屋向かうという事に、だ。
そして四人は適当に近い温泉へと入り、垢すりを堪能して、次の目的地であるパチンコ屋へと向かった。
この旅の真の目的である『良い温泉に入ること』は結局パチンコには勝てなかったようだ。
ノープランというのは恐ろしいものであると実感した刹葉であった。
そして、軽く昼食を食べ終え、パチンコ屋へと向かっている途中の車の中であの曲が流れ出す。
あいつもとうとう一人になった月曜日の夜 よってたかって
しょうがねえやつだなんてからかいながら 誰もがわが身振り返る
イエス 自分は間違ってない
この先も浮き沈みも勝てば楽し
いつの間にかパチンコに丸め込まれたのは君?
「もし生まれ変わったら」なんて 目を輝かせて言ってたくない
勝って負ける少ない仲間と 敵だ見方だと騒いでる
負けばかりのこの世界で 胸を張って生きるしかない
いつの間にかパチンコに丸め込まれるのは誰?
くだらなかったあの頃に 戻りたい戻りたくない
怖いものはありますか? 守るものはありますか?
負けばかりのこの世界で 胸を張って生きるしかない
*すいません、歌詞勝手にアレンジしてます。ご了承ください
と。刹葉達はまさに、自分達を連想させたのだった。まったくそのとうりである。が、それが楽しいのであった。
士気も高まった刹葉達はパチンコ店へとたどり着く。
見た目は、普通のパチンコ屋だった。そしてチームを組む。勝敗は収支の差額。負けた方は夕飯奢り。がルールである。
チームは刹葉・純吉チーム『昨日勝った組み』対祐二・祐一チーム『兄弟?』チームとなった。
四人は 一斉にパチンコ店へと突入した。そして、四人はこう思ったであろう。
(うわ、クソ店だ。)
と。しかし、移動する時間ももったいなかったため、この店で打つことにしたのであった。
各々散らばると、好きな台で打ち始める。
打つこと数時間。刹葉は収支がプラス13000円になったため、純吉を探す。が、純吉の姿は見当たらなかった。仕方がないので祐一の隣で様子を伺いつつ打つことにした。話を聞くと祐一はトントンくらいだそうだ。打っている機種は『エヴァンゲリオン7』である。
調子に乗って刹葉は祐一に断言する。
「俺、この3000円で引くから。」
それを聞いた祐一は思う。
(3000円なんかで引けるかボケー。)
祐一は決してそれを口には出さない。すると祐一の隣で打っていた刹葉の台が使途を殲滅していた。
(えー。)
聞くと1500円だという。
(ありえねー。俺も負けねー。)
などと思う祐一だが、決してそれを口には出さない。
連ちゃんする刹葉の台。あたらない祐一の台。そして刹葉の隣にはいつの間にか祐二がいた。
祐二は並び打ちがしたかったらしい。楽しそうに打ち始めている。
ふと祐二の鼻に目をやると毛が少し出ている。が、刹葉は決して口には出さない。祐二は楽しそうに打っている。
連ちゃんする。刹葉の台。気がつくと祐二の隣に純吉がいた。純吉も並び打ちがしたかったらしい。純吉は祐二の隣だったため、よくわからない。
連ちゃんする。刹葉の台。当たり始める祐二の台。祐二はうれしそうに刹葉を見つめる。ふと鼻に目をやると少し毛が出ている。が、刹葉は決して口には出さなかった。
あたらない祐一の台。祐一は画面を見つめながら必死である。
純吉は祐二の隣だった為よくわからない。
あたらない祐一の台は投資金額が二万を超えていた。
「祐一の投資金額が二万円を超えました!」
「まさか!?」
「暴走?」
祐一の暴走モード突入だった。
(くそ。あたらねー。でも。あたったらでかい。)
そう思いつつ、暴走する祐一であった。自分の台は暴走していないと言うのに。
そして、連ちゃんが終わる刹葉。気がつくと純吉は姿を消していた。
先に換金して純吉を探す刹葉。このとき刹葉は勝利を確信していた。
(俺はすでに、34000円勝ち。純吉はたぶん、負けてるけど、そんなに使ってないはずだ。)
そう思っていた刹葉は、純吉を見つけた。純吉は得意の漫画コーナーへと逃げていた。
「いくら負け?」
「えーっと。三万です・・・。」
「えー!」
二人の差額はプラス四千円である。刹葉は落胆した。
(まぁ、祐一が暴走してるから大丈夫であろう。)
と思っていた刹葉だったが、祐二の言葉によって、負けが確定したのであった。
「やべー。祐一の連ちゃん止まらないんだけど。」
「えー!」
慌てて様子を見に行く刹葉。ふと祐一の後ろに目をやると無数のドル箱が積み上げられていた。
そして、閉店の時間を迎えると。四人は車の中で確認しあった。
「こっちのチーム四千円です。」
「こっちは三万かな。」
そして、刹葉・純吉チームが負けとなった。
帰路につく刹葉達。
「忘れ物ない?」
「やべっ。忘れ物した。」
「まじ!?」
「心を、メイド喫茶に。」
「・・・。」
ノープラン旅行は無事終了した様である。
急に行き先が決まり。急に行き先が変更になり。迷ったり、盛り上がったりしたけれど、楽しかったノープラン旅行。今回は四人であったけれど、もの寂しさがあった。今度は五人で行きたいものだ。幸太郎も連れて。そしたらきっと、もっとすばらしい旅行になるだろう。意見が一つ加わるだけで、また違った旅行が楽しめることであろう。相変わらずのぐだぐだ旅行だけれども、それはそれで尚楽しい。いつまでこの関係が続くかわからないけれど、ずっと楽しむことができたらいいなと思う。今度はどんなノープラン旅行が待ち受けているのだろうか。四人(五人)の旅はこれからも続いてゆく予定である。
完
今まで読んでくださって、ありがとうございました。
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