最近、ネットに繋がらなくてやっと更新・・・。
お待たせしました!第三話と第四話をお送りしたいと思います。
読みたい方はどうぞ。
*少し長めになってしまいました。
登場人物 ・・・刹葉・純吉・祐一・祐二・菜乃葉・紫音(全部仮名です。)
第三話「トイレ」
祐一はトイレに行きたがっている。だが、そんなことはとっくに忘れてしまっている三人がいた。仕切りにメイド喫茶を探す刹葉と祐二。のんびりとついてくるだけの純吉。祐一はトイレを主張せずに、みんなと行動をともにしている。実際は我慢しているというのに。そんな中、祐二は秋葉原マップを道端にいるメイドから受け取ると、それを堂々と広げメイド喫茶を探し出す。
「どこがいいかな?」
そんなマップを見つめる刹葉と祐二は、あるメイド喫茶が目にとまった。『No.1メイド喫茶』と書かれたその代々的なメイド喫茶のアピールに心を打たれた。
「ここにしよう。」
「まあ、俺らはメイド喫茶なんて、どこがいいのかわかんないし、適当に行くのが無難だよな。」
「そだな。そうしようか。」
メイド喫茶の場所をマップを頼りに進んでいく四人であった。
マップどうりに進んでいくと、まず目にとまったのがラーメン屋さんだった。
「ラーメン屋?」
「まわり、見渡してもそのメイド喫茶ないよな?」
「うん。」
道を間違えたのであろうか。マップどうりに進んできたというのに。四人は探しても見つからないメイド喫茶に悩んだ。そして祐二が重く、口を開く。
「腹、減らねぇ?」
四人はメイド喫茶を後回しにし、ご飯を食べることを選択したのであった。
「メイド喫茶は飯食いながら、また探そう。」
四人はその意見で賛成だった。そして、その目の前のラーメン屋さんで、食事をとることにした。
(あの・・・。トイレ行きたいんですけど。)
そう思った祐一は言葉にせず、じっと、ただただ黙々とご飯を食べるのであった。
食事を終えた四人は、喫煙所を探した。食後と言えば、一服したい。そんな四人は喫煙所へと向かった。
(トイレ・・・。ラーメン屋さんになかった。)
祐一はそんな事を思うが、決して口にはしなかった。なぜなら我慢強かったからである。
喫煙所へとたどり着くと、刹葉はタバコとコーヒーを飲みたかったため、自動販売機でコーヒーを買う。そして、それぞれ、おもむろにタバコをふかし始める。ふと、目をやると少しむちむちな、遠くから見るときれいなお姉さん、が立っていた。格好は、例えて言うならばレースクイーンのようだった。いや、決してレースクイーンではないのだが。そんなお姉さんが四人へと声をかけてきた。
「少し。よろしいでしょうか?」
「はい。」
よく見るとお姉さんは化粧が濃く、少し老けていた。刹葉達より、四、五は上であろうか。そんなお姉さんの話を聞くことにした四人は黙ってお姉さんのほうを向く。
「今、アンケートをやってまして、お手持ちのタバコをお見せしてもらってもよろしいですか?」
なにかのキャンペーン中であろうか。四人は疑うこともせずに、各自のタバコをお姉さんへと見せていく。純吉はマルボロ。祐二もマルボロ。祐一もマルボロ。そして刹葉は、マイルドセブンを取り出すと刹葉は口にする。
「俺だけマイセン!」
「・・・。」
お姉さんの反応は薄かったらしい。ただただ。話を進めていく。
「ありがとうございます。おタバコをお見せいただいたので、よかったらこれ。ラークの試供品を差し上げてますので、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
四人は試供品を受け取ると、試しに吸ってみる事を進められた。四人は先ほど一服したばかりではあったが、すってみる事にしたのだった。そして、そのタバコを吸い終わると、購入を勧められたのであった。
「どうでしたか?よかったらお買い求めになりませんか?」
四人は各々の顔を見合わせると、少しの間が流れ出す。
「やめておきます。」
「俺もいいかな。」
「俺も。」
刹葉と祐一と祐二は、断った。しかし、断りきれない男が、ここにはいたのだった。純吉である。
「じゃあ、俺、買います。」
「ありがとうございます。」
にこやかに笑顔を振りまくお姉さんは、とても嬉しそうであった。
「お帰りになる際に、またお声かけくださいね。」
そう言ったお姉さんは、その場を立ち去ろうとする。が、祐二は何を思ったのか。お姉さんの体を見て、つぶやく。
「お、すげー。ラークって書いてある。」
そんな祐二の声に、お姉さんは反応した。
「あっ、あの、私そんなにスタイルよくないので・・・。」
(体の話してねー。)
四人は同じ事を思った。四人は苦笑いを浮かべながら、後ずさるお姉さんを見送る。そして、雑談をしていると。刹葉は手に持っていたコーヒーを滑らせ、床に落としてしまった。
(やべっ。)
床に広がっていくコーヒー。焦る刹葉。すかさず、タオルを取りにいく、お姉さん。そして刹葉は、タバコの購入を余儀なくされたのだった。
(トイレ。行きたいなぁ。)
祐一はただただそれだけを、考えていたのだった。
’
そんなこんなで、喫煙所を後にした四人は、目的のメイド喫茶を発見する。
「あっ、あそこにあるじゃん。」
「よし、じゃあ、そこに向かおうか。」
四人は目的地のメイド喫茶へと向かおうとする。が、祐一が重く、口を開きだす。
「トイレ、行ってもいいかな?」
ついに、我慢の限界が来たようである。三人ははっと、したかのように、思い出す。
「いいよ。てか、忘れてたね。」
(わすれてたんかーい。)
そう突っ込みたくなった祐一だったが、今はそんな事を言っている場合ではなかったため、急いでトイレを探すことにした。
見つけたのは、喫茶店だった。メイド喫茶ではない。ただの喫茶店。そんな中に、コーヒーも頼まずに、一目散にトイレへと向かっていく、祐一。よほど我慢していたのであろう。三人は祐一の帰りを喫茶店の外で待つことにしたのだった。そして、トイレを終えると、四人は本当の目的地、メイド喫茶へと、向かって行ったのであった。
(あー、すっきりした。)
無事トイレを済ませた祐一は、メイドさんに会えるのを楽しみにしていた。
第四話「メイド喫茶」
目的のメイド喫茶は四階にあった。エレベータの入り口へと乗り込む。四階へのボタンを押すと、エレベーターは上へと昇っていく。その間の沈黙には期待と楽しみがにじみあがっていた。エレベータのドアが、到着の音を鳴らす。そして、自動で開かれた扉の先には、今までいた場所。いや、今までいた世界とは、別の。別の世界が広がって見えた。
辺り一面ピンクで仕切られた空間、いかにもメルヘンって感じのその室内へと四人は進み行く。そしてメイドさんが出迎えてくれた。
「いらっしゃいませー。4名様ですね。こちらへどうぞ。」
そして、出迎えてくれたメイドさんに、四人は驚愕した。四人は『お帰りなさいませ。ご主人様。』と言われるものだと思っていたのだった。いや、驚愕したのはそこではない。お出迎えしてくれたメイドさんは、結構年がいっていて、容姿は、『微妙』であった。
(はずれキタコレw)
と思った四人は、そのままお店を後にすることもできずに、席へと案内されていく。
微妙な空気をまとったまま、メニューの説明をされ。各々注文を決めることにした。案内をしてくれたメイドさんの名札に目をやるとそこには菜乃葉と書かれていたのであった。そして菜乃葉が去ると、四人は聞こえないように小声で雑談をし始める。
「菜乃葉ちゃんか。微妙なの来ちゃったな。」
「いや、菜乃葉ちゃんってか、菜乃葉さんだろ?」
「そうだな。」
四人は笑いが隠しきれなかった。菜乃葉は頃合を見たのか。注文を伺いに来たのであった。刹葉は普通のウィンナーコーヒーを、純吉はココアを、そして祐二と祐一はメイドさんが作るオリジナルカクテルを各々注文ををすると、菜乃葉は準備へと取り掛かりに、向かっていく。
あたりを見渡すと、いかにも、という風なオタクと呼ばれる人たちが、にこやかに、食事をたしなんでいるのだった。
(きもいの、いっぱいいるなぁ。)
なんて思った刹葉であった。
そんな事を思いつつ目をやると、容姿はそこそこ、年は刹葉達より年下であろう。先ほどの菜乃葉という子に比べると可愛いとも言えるメイドさんが、話をかけてきたのだった。しかし、最初の一言は唖然とするものであった。
「私、タイツに靴下履いちゃいました。今日寒くって。変ですよね?」
刹葉は言葉を失った。が、菜乃葉より可愛いメイドさんに話しかけられたということもあって、必死に言葉を探した。
「に、似合ってるじゃないかな?」
「本当ですかー。ありがとうございますー。」
(な、なんなんだ・・・。)
刹葉は、不思議に思ったが、本能的に何かを感じ取ったのだった。
(こいつ・・・。いじってやろう。)
そう思った刹葉は次に離しかけてきたときにいじる事を決意したのだった。
四人はいつもながらの会話で盛り上がっていると、先ほどの菜乃葉より可愛いメイドさんがやってきた。どうやら、オリジナルカクテルの中身がどんなのがいいか聞きにきたらしい。
「杏仁風なカクテルでも大丈夫ですか?」
その問いに、祐一は答える。
「じゃあ、それで。紫音ちゃんよろしく。」
「かしこまりましたー。」
どうやら、菜乃葉より、可愛いメイドさんは紫音という名前らしい。
(いつの間にメイドさんの名前を・・・?抜かりないな。祐一は。)
などと思った刹葉であった。
「お待たせしましたー。」
紫音が、カクテルを運んできた。
「自慢の杏仁です!」
などと念を押す。紫音であった。
「どうぞ。飲んでみてください。」
いかにも。といった感じの白いカクテルを、祐一は口に含む。そしてその一言は、いかにもだった。
「うん。杏仁。」
微妙な顔をしていた祐一を心配そうに見つめる紫音は焦って、口を開いた。
「あっ、微妙な顔してるー。おいしくないですか?」
「いや、おいしいよ。まぁ、だた一言言えるのは、杏仁だね。」
「はぅ。」
ショックを受けたのか、どうなのかは定かではないが、刹葉も少し気になったので、祐一のカクテルを少し、頂くことにした。
「ちょっと頂戴。」
「いいよ。」
そうして、刹葉も白いカクテルを口に含む。
「うん。杏仁。」
紫音は、すこし寂しそうに、つぶやく。
「だから聞いたじゃないですかー。杏仁でもいいですかって。」
「うん、まぁ、そうなんだけど、杏仁風な何か。かと思ったんだよ。」
「杏仁は、杏仁です!」
急に自身げにしゃべりだした紫音に、刹葉は聞いてみた。
「じゃあ、この杏仁は。なんていうカクテルなの?」
「えっ?うーん・・・。」
しばらく、紫音は考え込んでしまった。
「杏仁です!」
「・・・。」
「あ、あれ。だって、杏仁は杏仁・・・。」
刹葉は思わず突っ込んでしまった。
「なんかさ、もっと面白い答え返ってくると思ってたのに。期待はずれだわ。」
「えー。無茶振りしたのはそっちじゃないですかー。」
すこし、悲しそうな、でもうれしそうな紫音の顔は、見ててとても面白かった。刹葉にとっても。みんなにとっても。
そんな感じの、紫音いじりは、ずっと続いた。そして、気がつくともうひとつのカクテルが運ばれてくるのであった。
頼んだのは祐二。製作者は、菜乃葉であった。菜乃葉である。
(祐二・・・。おつw)
祐二はそれがどうした。と言わんばかりの顔つきで目の前に置かれたカクテルに目をやる。とてもおいしそうな。ピンク色のカクテルであった。どうやら、菜乃葉は年を重ねているだけあって、カクテルだけは、うまかったようだ。
そして、祐二はそれを口に含もうとすると、菜乃葉がそれを止めた。
「待って。今魔法をかけてもっとおいしくするから。みんなも一緒にやってね。」
「まじっすか。」
「まじっす。」
四人は恥ずかしくなりながらも、一緒に呪文を唱えるのだった。
「りりかる。まじかる。おいしくなーれ。」
(・・・なにこれ。)
「わーい!」
盛り上がるメイド達、そしてそれに合わせてがんばって盛り上がる四人。祐二はやっとカクテルを口にすることができたのだった。刹葉は祐二のカクテルも味見してみたかったので、それをもらうと一言つぶやいたのだった。
「それにしても、菜乃葉ちゃんのカクテルはおいしいな。誰かさんの杏仁と違って。」
「むぅー。」
すかさず、反応を示す紫音。まだまだ。紫音いじりは続くのであった。
盛り上がりも頂点に達してきたところで、一人のお客さんが帰る様子が伺えた。
「いってらっしゃいませー。ご主人様。」
いかにも、といったオタク風なおやじとも言えよう人が帰っていく。メイドさんに見送られ、にやけながらお店を後にする。
(きもいな。あのおやじw)
そう思った刹葉は、みんなとの雑談にもどった。そして、数秒もしないうちに誰かが来店してきたようだ。
「いらっしゃいませー。」
ふと目をやるとさっき帰ったはずの。いや、帰ったはずのおやじが。来店してきた。
(帰ったんじゃないんかーいw)
再び席に着くおやじ。刹葉達は笑いが堪えきれなかった。
そして、今まで二人しかいなかったメイド喫茶内に、新たなメイドさんが出勤してきたのだった。
「ご主人様いらっしゃませー!今日も調子はいかがですかー?私は元気なのですよぉっ!」
やけにハイテンションである。刹葉達は華麗にそれをスルーしたのであった。
「はぅ。私、浮いてるっ。」
泣く泣くそのメイドさんは去っていくのであった。新たに出勤したメイドさんのスルーは最後まで続くのだった。
そんなこんなで、時間を見るとすでに一時間を過ぎようとしていた。
「そろそろ、行くか。」
「そだな。」
刹葉達はおもむろに席を立つと会計を済ました。
「行ってらっしゃいませ。ご主人様。」
新鮮なその一言に見送られ。お店を後にしたのだった。
初めは失敗したかと思われたメイド喫茶ではあったが、十二分に楽しめた刹葉達は次の目的地を探して歩き出すのであった。まだまだ旅は終わらない。次の目的地を悩んでいると祐二が刹葉の方を軽く叩いて言い放つ。
「秋葉原来たらパチンコ屋覗かないで帰る気なの?」
「やっぱり、そうなっちゃいます?」
「うん。」
「よし、いくか。」
刹葉達は次の目的地。パチンコ屋へと向かって歩き出したのであった。
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